いつものように実家に行き、冷蔵庫におかずを入れようとしたら、
「小あじの南蛮漬け」と書かれたシールが貼られたタッパーがあった。
昨日、姉が遊びに来たようだ。
「姉ちゃん元気だった??○○君(甥っ子)も一緒に来たの?」
つい何気なくY子さんにそう聞いてしまった・・・
それまでニコニコしていたY子さんの表情が一瞬固まった。
しまった!!と思ったがもう遅い。(汗)
Y子さんは昨日の事を覚えていなかったのだ。
姉が来たことは覚えていたが、甥っ子が来たのかどうかの記憶がないのだ。
最近Y子さんの記憶力の調子が良かったので、つい注意を怠ってしまった。
いつもならば、記憶があるかどうかを確認しながら前日の事を聞くのに・・・
案の定、Y子さんは「○○君、来たっけ??どうだったか覚えてないわ・・」
「最近よく忘れるのよね・・昨日の事も覚えてないなんて、ボケたのかも。」
そう暗い顔で悩み始めた。
甥っ子が来たか来てないか・・・
その白か黒かの答えに対しては私もフォローのしようがない。
「覚えてないなら来てないんじゃないの??」とか
「大人しい子だから影が薄いもんね。」とか、
そんなフォローはやっぱりヘンだしな。(汗)
やっとやっと「物忘れは皆あるよ~」とは言ってみたが、
「昨日○○君が来たかどうかも分からないなんて普通ないよ!」と、
そう言いながら落ち込んでしまった。
あああ~やっちまった。
自分の記憶力が無くなっていることを、誰よりも怖がっている子さん。
その恐怖が強いストレスになる。
「人と話さずに家にジッとしてるからボケてきた。」そうY子さんは言う。
もちろん人とコミュニケーションを取ることは大事だと思う。
でも家から出たくない、サークルなどにも参加したくないY子さんが、
人と話す機会は限られてしまう。
どこに誘っても嫌がる限りそんな機会はないのだ。
それより「人と話さないからボケる」と思い込んでいる事が、
ますますY子さんのストレスになると思うんだけどな・・・
でも何度そう言ってみてもY子さんには通じない。
一度、頭(感情)にインプットされたものは書き換えできないのだ。
なんとかその話題を回避するために、来月の富山旅行の話にすり替えた。
Y子さんはすぐにその話に乗ってきて、ニコニコ話をはじめた。
とりあえず一安心。
このまま甥っ子の話は忘れてくれるといけど・・・
都合のイイことは覚えていて欲しくて、
都合の悪い事は忘れてくれだなんて、私も自分勝手だな~
そう心の中で苦笑しながら、Y子さんと旅行の話をした。