母の認知症治療<4>

去年の夏頃、あるサイトにY子さんの認知症に関する記事を書かせて頂いていた。

20本ほど書いた時点で残念ながらそのサイトは閉鎖してしまったので、

書いた原稿がそのまま返却された。

その後は放置していたのだが、せっかく書いたのでここに残そうと思いついた。

今まで書いた内容とダブる部分も多いが、文章の感じや表現が違うので

本音と建前ってな感じで(笑)読んで頂ければ・・・と思う。

 

 

薬を止める決断-母の認知症治療<4

認知症の投薬治療を開始した母でしたが、家族の期待とは裏腹に症状が急激に進んでしまいました。そして薬を飲むのが苦痛でたまらない母。そんな母の様子を見かねた父が投薬治療を止めると言い出したのです。

 

 

薬を嫌がる母と、進行する症状

認知症の投薬治療を始めてすぐの頃は、母の状態は落ち着いたように思えていました。 

しかしその後3ヶ月近く経過すると、症状は急激に進行し状態が悪い日々が続いていました。

それでも薬を飲むことが認知症の進行を抑えるために重要な事だと考え、毎月脳外科を受診し、薬を母に飲ませ続けていました。

 

でも元々健康で薬を飲む習慣がない母は、薬を飲むことをとても嫌がります。 

認知症と診断され薬を飲むよう指示された事は、母の記憶からすっぽり抜け落ちていた為、 

「何でどこも悪くないのに薬を飲まないといけないの?」 

と、何度も文句を言われ、正直私もうんざりしていました。

 

 

「薬はもう飲ませない!」

母が薬を飲み始めて半年ほど経ったある日。 

父がこう言い出しました。 

「お母さんに薬を飲ませるのを止める」

私は耳を疑いました。 

そして父に、薬を飲むことが症状の進行を抑えるために大事なんだということを、何度も繰り返し説明しました。

それでも父は 

「もう決めたから」 

と、その意思を曲げることはありませんでした。

 

父がそう決断した理由は、勝ち気で涙なんて見せた事がない母が、 

「もう薬は飲みたくない!」 

と涙ながらに父に訴えたからでした。 

母は、薬を飲むとなんだか頭がぼんやりする、とも言ったそうです。

毎日、嫌々薬を飲む母を見て来た父。 

きっと可哀想だと思う気持ちが強かったのだと思います。

 

そして、薬を飲んでも症状が進んでしまった事。 

これも父に決意をさせた大きな要因だったと思います。

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うちは母も頑固ですが、父はそれ以上に頑固です。 

そんな父が決めた以上、私が何を言ってもその決定を覆すことはできません。 

私は渋々父に同意するしかありませんでした。

 

薬を止めたら元気になった?

父との話の後、私はすぐに主治医の先生に相談に行きました。

「中には薬を飲むのを嫌がる人もいるからね」 

「飲み薬に抵抗があるなら貼る薬もあるから、ゆっくり様子を見ながら考えて行こう!」 

先生はこのように言って下さいました。

これで母の状態が悪くなれば、また父も考え直すだろう。 

私はそう考えながら、薬を止めた母の様子を見守ることにしました。

 

ところが驚くことに薬を止めてからの母は、どんどん元気を取り戻しました。 

明るく積極的になり、イライラしたり攻撃的になったりする事もグッと減りました。

何よりも驚いたのは、ぼんやりすることがなくなった事でした。 

度々口を半開きにしてうつろな表情を見せていた母でしたが、全くその表情を出すことがなくなりました。

あの表情は母が言っていた「薬を飲むと頭がぼんやりする」時の状態だったのでしょう。 

認知症の症状が進んだせいだと勝手に思い込んでいた私にとって、それはとても衝撃的な事でした。

 

進行を抑える為とは言え、そんな強い薬を母に飲ませていたんだ・・・そうショックを受けました。

もちろん効果がある薬だという事に間違いはないと思います。 

でも母にとっては、薬の副作用の方が大きかったのかもしれません。 

薬の効果は人それぞれなんだと言う事を思い知らされました。

 

薬を止めて1年、その後の母の様子

母が薬を止めてもう1年半近くが経とうとしています。 

その後、脳外科に定期健診に行く事もなくなってしまい、今は病院にも行っていません。

母は、少し前に言った事や昨日の事など、短期記憶は明らかに衰えてしまいました。 

でも投薬治療を始める前に比べれば、格段に元気になっています。

 

明るく前向きになり、精神的にもとても落ち着いています。 

もちろん頑固で融通がきかなかったり、攻撃的になったりすることも多々ありますが、それでも以前の状態とは比べものにならないほど穏やかです。

人に気を遣うという感情も、母からはすっかり失われたと思っていたのですが、これも戻りました。 

こうして母は、認知症ながらも落ち着いた毎日を送っています。

それには、バランスのよい食生活を心がけている事、母になるべくストレスを感じさせないよう気を配っている事も、大きな手助けになっていると思っています。

 

あの時、薬を止めて良かった。 

決断してくれた父の勇気に、今はとても感謝しています。 

今後「やはり薬は必要だ」と思う日が来るかもしれません。 

でもこの選択を後悔する事はないだろう・・・そう思っています。  (つづく)

 

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