なんとか石垣島に降り立ったY子さん。
目が覚めるようなキレイ海に少しは反応を示した。
夜はマグロの専門店で、「美味しいね」と喜んでご飯も食べてくれた。
よしよしいい感じ!これで明日シュノーケルで、キレイな魚と戯れればいい刺激になるだろう♪
そう思っていたのに・・・なんと台風が通過した影響で海が荒れて船が出ないらしい。
まあ、日程に余裕はある。
仕方がないから明日は観光でもしよう。
翌日は竹富島に渡り、水牛車に乗ったりなんとサイクリングまでしたY子さん。
んが・・・その元気も午前中で終了した。
どんどん不機嫌になって行き、もう何処にも行かないと言う。
観たいものも、行きたいところもないと言いホテルに帰ると言い出した。
外はピカピカのお天気。
石垣ブルーの海はキラキラしてるのに、私たちはホテルの部屋でY子さんが繰り返す
父の悪口をずっと、ずっと聞かされていた。
高いお金を払って来たのに・・・、楽しみにしてたのに。
なんでこんな所で、こんなことしてるんだろう・・・そう思うと悲しくて悔しくて涙が出た。
楽しみにしていたシュノーケルは翌日も波の関係で中止になった。
これでは何の為に来たのか分からない!どこか船がでるツアーがないかと
スマホで探しまくって、なんとか近場だけ船が出るツアーを見つけ予約を入れた
その夜は妹と「やっぱり症状がだいぶ進んだね・・」「先の事も考えないとね」とも話し合った。
お先真っ暗・・・そんな気分だった。
翌朝、短時間のシュノーケルツアーに参加した。
Y子さん初体験。
ウェットスーツを着込んで、講習を受け、インストラクターさん伴われて海に入った。
台風の影響で思った以上に水が冷たく、波に翻弄される痩せっぽちのY子さん。
キレイな魚もそこそこ居たが、やはり思ったほどではない。
Y子さんはほんの30分ほどで海から上がってしまった。 仕方がないか・・
思うようにはいかないと、ガッカリしていたのですけどね。
なんとも不思議な事に、海から上がったY子さんは
憑き物が落ちたかのように、驚くほど穏やかに変身していたのですよ。
荒れた海が良かったのか?冷たさに脳がビックリしたのか?(笑)
はたまたキレイなお魚さんに心が癒されたのか??真相は分かりません。
でも石垣島の海には何かがあったようだ。
今振り返れば、石垣島に行ったあたりが
一番Y子さんの状態が悪かったように思える。
人に気遣いも全くできず、怖い顔をして父の悪口を言うか
口を半開きにしてボ~ッとしてるかだった。
オシャレも全くしなくなくなり、大好きな洋服もどうでも良くなった。
白髪染めもしなくなったので、いっぺんに20歳も老け込んだ感じ。
すっかり別人になってしまっている。
そんな状態だった。
でも石垣島の荒れた海で、何かが変わった。
本当に不思議なんだけど、この旅行以降すこし状況が良くなった。
自然の持つ力ってスゴイな~
でも残念なことに、Y子さんは「もうシュノーケルはしなくていい」と言う。
「そんな事言わずに、今度は海が穏やかな時にキレイな魚を見に行こうよ!」そう誘っても
首を縦には振らない。
なんでも忘れちゃうくせに、こんな都合の悪い事だけ覚えてる(笑)
竹富島の水牛車も、サイクリングも、キレイな海も・・・
もう記憶はあやふやなのに、シュノーケルだけは忘れていない。
きっとそれだけ脳に刺激があったんだろう。
またあの海にY子さんを漂わせたい・・・
いつかまた。
そんなチャンスを狙っている娘なのです。