最近のY子さん。
マイブームは30年以上前の、雪国に住んでいた時の想い出話をすること。
以前もその時期の話を繰り返していたが、その時の話は父に対する愚痴の数々だった。
初期の認知症と診断されたばかりのだった当時(約2年ほど前)
鬼のような形相で、父がどんなにヒドイ男だったかを毎日のように訴えていたY子さん。
それに付き合っていた私は、本当に心底うんざりしたものだった。
それが今は同じ時期の話をしていても父の愚痴は全く出て来ない。
Y子さんの口からは「あそこは自然がいっぱいでいい所だったね。」とか、
「散歩の度に草花を摘んで、挿し木して増やしたよ!」とか、
「冬はアンタたちが学校に行ってる間に、毎日のようにスキーしに行ってたよ♪」とか
「年末はご近所さんと少し遠くの市場にブリを買いに行ったよ。」などなど・・・・
毎日のように楽しい想い出話をする。(内容はほぼ同じだけどね)
この手の話ならたとえ何度リピートされても、こちらも楽しく付き合える。
前はその頃を連想させるような言葉を使うたびに、
「お父さんは最低の男だった!」とY子さんの怒りが炸裂していた。
いつも地雷を踏まないように言葉を選んでいたものだ。
でももうそんな事も無い。不思議だよね~何でかな???
嫌だった記憶は散々出してしまったからスッキリしたのか?
言いたいだけ言わせたのが功を奏したのか?
その辺のメカニズムは不明だが、Y子さんの記憶は楽しい記憶に塗り替えられ中だ。
今日は「あの頃が一番楽しかったね♪」などと仰っていた。
以前は「あの頃の事は思い出したくもない。」と仰せだったがな。(笑)
認知症のせいだと思うが、Y子さんは記憶を度々作り変える事もある。
行った事がない所も、TVで見た記憶が混ざり合い行った事になっている。
日本のキレイな風景などの特集番組が好きだったので、
行った事があると言う架空の記憶が増えて、それはそれで楽しそうだ。
どうやら最近のY子さん脳内メーカーは、楽しい記憶を作り出すようになったようだ。
今はY子さん自身が心身ともに安定しているからかな?
ワンコが来てから、明らかに穏やかになったY子さん。
大好きな花いじりも効果があるんだろう。
やっぱり何かする事があるって事は、色んな効果をもたらすんだろうな。
たとえ架空の記憶でも構わない、これからもどんどん楽しい記憶を作って欲しいのもだ。