2015年春。
この頃のY子さん(母)は、ご機嫌斜めの日が多くなっていた。
物忘れは相変わらずだけど、その他の症状が特に進んでいるわけでもない。
ただただ機嫌が悪く、父に対しての悪口がまた復活!そんな感じだった。
原因は「腰痛」。
我慢強く、人に弱みを見せるのが大嫌いなY子さんが「腰が痛い」と度々言うようになった。
そしてそれが過去の父への悪口に繋がって行く。
「お父さんは雪かきをしてくれなかった。」
「私は妊娠しても、臨月腹を抱えて雪かきをしていた」
「その時に腰を痛めたせいで、今こんなに痛い」
今は九州に住んでいるのだが、昔は父の転勤の関係で雪国に長く住んでいた。
冬は毎年どっかり雪が積もる地域だ。
一晩で車なんて埋まってしまう・・・だから毎朝の雪かきは必須。
もちろん父も雪かきをしていたけれど、Y子さんの脳内メーカー(笑)は
そんなことすっかり消去していた。
腰が痛むたびに、その話になる。
腰の痛みを与えた父が憎くてたまらない・・・そんなご様子。 よっぽど痛いんだね。
もちろん整体にも連れて行った。
でも「余計に痛くなったから、もう二度と行かない!」と言う。
「ピリピリ痛む!!」そう言うので、もしや帯状疱疹??と
皮膚科にも連れて行ったけれど、それも違った。
どんどん不機嫌になるY子さん。
そんなY子さんから攻撃を受ける父は、かなり気の毒な状態だった。
おまけにイライラのせいか?食欲もますます減退しまた痩せていく。
どうやら胃腸の調子も良くないように見えた。
検査に病院に行こう!そう何度誘っても
痛む腰以外の病院にはガンとして行かないY子さん。
もともと頑固だったけれど、認知症になってからは輪をかけて頑固になっていた。
そんな時期、GW休暇を利用して遠方に住む妹夫婦が帰省して来た。
Y子さんは数日前からお布団を干したり、ご飯の心配をしたりワクワク楽しそうだった。
家族が揃う時は、いつも我が家に全員が集合し
ご飯も私が準備する。
それはY子さんが認知症になる前からの習慣だったので、Y子さんが用意するのは
実家に泊まる妹夫婦の朝食だけでいい。
それでも今のY子さんにとっては「何を作ればいいの??」と
頭を悩ませる要因になっていたようだ。
楽しみだけど、何をどうしてやっていいのか分からない。
そんな気分だったんだと思う。
「大丈夫!Y子さんは何もしなくていいよ!私がするからね♪」
そう言っていたのに、母として娘に何かしてあげたい気持ちがあったんだろうと思う。
そしてストレスが積もっていった。
結局、妹夫婦が帰省した2日目から起き上がるのも辛そうなほど
Y子さんは元気をなくしてしまった。
病気知らずで、ゴロゴロしないY子さんが横になってしまった。
「腰が痛いから・・・」そんな理由で。
そしてその痛みの鉾先は父に向く。
どうにか病院に連れて行かないといけない・・・そんな状況になっていた。