認知症になってからのY子さん(母)。
ご飯を作ることが難しくなった。
献立を組み立てることが出来なくなり、
素材に対しての調理法が浮かばなくなった。
買い物に行っても何を買えばいいのか分からなくなり、
買い物に行く事もなくなってしまった。
で、今は私が毎日オカズを作って配達している。
でも朝はトーストを焼くし、(それとフルーツね)
夜はご飯をちゃんと炊く。
庭で父が栽培しているキュウリは浅漬けに出来るし、
貰ったタケノコもちゃんと煮ていた。
ほうれん草を持って行って「茹でてね」と言えば茹でるし、
魚を持って行って「お刺身にしてね。」と言えばお刺身になる。
要するに素材に対しての調理法を伝えれば、まだまだ出来るのだ。
だから時々素材のままで食品を持っていくようにしている。
お刺身用のイカなんて大喜びで下ごしらえに取り掛かるY子さん。
なのにね・・・・「炒めてね。」とか「焼いてね。」は嫌がるのよ。
何でだろ~??
先日豚キムチ炒めを作った。
豚肉とキムチを炒めて味付けをし、
もやしとニラ(下ごしらえ済)をビニール袋に入れて渡した。
「食べる直前に豚キムチに野菜を入れて炒めてね」とお願いした。
もやしは早く炒めてしまうと水分が出ちゃうし、
やっぱりシャキシャキが旨いと思うよね。
なのにY子さんは難色を示した。
「え~もう炒めといていいよ。」と言う。
なので仕方なくニラともやしを投入して炒め直した。
別の日には開きアジを「焼いてね。」と渡していたが、
アジさんは冷凍室に入れられ使われることはなかった。
しばらく放置されていたので回収して我が家で頂いた。
味噌豚も焼かれることなく冷凍室に放り込まれた。
どうやら「焼く」「炒める」は無理なようだ。
でもね~
出来ないんじゃなくて、面倒だからしたくないように見えるんだよな。
焼いた後のフライパンとか魚焼きを洗うのが嫌なんじゃないのか?
どうもそんな気がする。
イカや魚をさばく方がよっぽど面倒だと思うけどな~
ご飯を炊いて、もらったオカズを温めなおして皿に盛り、
使った食器を洗うだけで十分家事をした気になるのかも?
もう面倒な事はしたくないんだろうな。
「出来立てが一番美味しいから♪」と口癖だったY子さん。
いつも出来立ての美味しいご飯を作ってくれた。
揚げたての天ぷら、焼き立ての魚。
炊き立てご飯に、野菜がシャキシャキの炒めもの。
今は遠い昔の話だ・・・。