認知症になってからのY子さん(母)。
脳内で本当の記憶と仮想が入り混じって、
新しい思い出話を作り出す事がある。
例えば行った事がない場所でも、TVで見た記憶がゴッチャになって、
過去に旅行に行ったと言う記憶にすり替わっている。
私はこのY子さんの状態を「脳内メーカー」と勝手に命名し
密かにその内容を楽しんでいる。(もちろん楽しめない話もあるが・・・
今日もそんなY子さんの「脳内メーカー」が派手に働いた。
何かの拍子にうちの子が旅先で、馬に乗った事があると言う話になった。
馬と言っても手綱をオジサンが握り、柵の中をグルグル歩いただけの乗馬。(笑)
そんな話をしていたら、Y子さんが「私も乗った事があるよ!」と言い出した。
Y子さんが小さかった頃、疎開先が宮崎県の山奥で農業学校の敷地内に住んでいたらしい。
その学校には馬や牛、他にも色んな動物が居たんだとか。
だから父親が乗る馬にいつも乗せてもらっていたんだって。
この話はY子さんが認知症になる前にも聞かせてもらった事があるので、
実際の記憶に間違いがない。
ふんふん♪と肯きながら聞いていると今度は「ラクダにも乗った事もある!」と言い出した。
なんと!ラクダかよ!!
脳内メーカーが作動し出したのか??そう思って聞いていると、
若いころに旅行で行った鳥取砂丘にラクダが居たんだと言う。
ん?この話はなんだか前に聞いたことがあるような気がする・・・・
Y子さんが鳥取砂丘に行った事があるのは事実だ。
そしてラクダが居たという話も、私の記憶の底に漂っているような・・・。
脳内メーカーが作動したのか?とちょっとワクワクしたが(笑)
どうやらそうでもないらしい。
そんなラクダの話がどんどん広がって行く。
そしてあろうことか「ゾウにも乗った事があるよ♪」と言い出した。
うひょ~♪今度はゾウかい!!(笑)
それはないない。(大笑)
脳内メーカーが派手に動き出したぞ。
そう心の中でウキウキしながら話を聞いた。
子どもの頃に修学旅行で行った別府の遊園地に、ゾウが居たと言うのだ。
そしてクラスで3人だけ乗せて貰ったと・・・
なんだか本当か??と、そう思わせるような話でもあるが、
昭和15年生まれの母の修学旅行先が遊園地ってのも妙な気がした。
ウッカリ信じそうになったが、これは脳内メーカーの仕事だろう。
だってさ・・・ゾウよ。
それはないでしょう~。
そう思いながらも、あまりにY子さんの話が本当っぽかったので、
家に帰ってちょっと調べてみた。
すると別府に「ラクテンチ」と言う遊園地があったらしい。
以下Wikipediaよりお借りした文章
- (昭和4年) – 「別府遊園」として開業。
- (昭和10年)頃 – 「別府ケーブル遊園地」という名称で、運営会社は株式会社別府ケーブル遊園であった。
なんと昭和4年開業なら修学旅行で行けるではないか!!
じゃあゾウは??
さらに検索してみたら、驚きの事実を発見!!
yahoo掲示板の中にこんな事が・・・(掲示板よりお借りした文章)
「2008年の大分合同新聞記事です。
1950年、戦後間もないすさんだ世相を生きる子どもたちを
元気づけようと、タイからラクテンチに雄ゾウ「太郎」が
贈られ、あっという間に人気を集めた」
なんと・・・ゾウが居た!
どうやら本当にゾウに乗ったようだ。(と思われる)
Y子さんの話は作り物ではなかったのだ。
Y子さん、笑ってすまない。
Y子さんの話は嘘か誠か?
今後、真実を探る新たな楽しみが増えた。
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