最近のY子さん。
お天気がいい日は、かなりの確率で庭に出ている。
春になってふたたび雑草が元気に生え出したので、イキイキとその雑草を抜いているのだ。
小さい小さい雑草を、何やら細長い棒を使って根を残さないよう抜く。
その棒は使いにくくないのか??Y子さんの手元を見るとそう疑問が沸いてくる。
でも楽しそうに雑草退治をしているので、何も言わず黙って見ている(笑)
Y子さんは昔から花が好きだ。
前に住んでいた家の庭にも色んな種類の花を植えていた。
しかも花は買うのではなく、他所のお宅から分けて頂いた1枝を大きく育てるのが上手なのだ。
30年以上前に住んでいた、雪国から持って来たスズランだって九州でずっと咲かせている。
環境が違うため、子どもの時に見た私の記憶にあるスズランと違い発育は良くないが、
それでも毎年可愛らしい花を咲かせていた。
スズランの他にも、初夏の頃から白い花を咲かせる小さい花がある。
それは父の転勤で雪国を出る日の朝。
近くの畑の淵に咲いているのを、土ごと新聞紙に包み、
そっとポケットに入れて九州に持って来たとY子さんは言う。
花の名前は分からないけれど、確かに九州で咲く花ではないようだ。
2年前Y子さんを連れ新潟に行った時、その花があちこちに咲いていた。
それを見て初めてY子さんの話が本当だったんだと知った。(信じてなかったのさ)
そんな花を育てるのが上手なY子さん。
最近、前に住んでいた家から花を移動し始めた。
スミレやスズラン、ハーブ類に名前の分からない例の白い花も持ってきた。
うちの息子が初ボーナスでY子さんにプレゼントした、アジサイの花も引っ越しさせたようだ。
ドクダミだらけだった庭が少しづづ明るく華やかになって来た。
元々庭に植えてあったツツジの花もそろそろ見頃だ。
することが増えて忙しいY子さんは、なんだかとてもイキイキしている。
庭仕事はウォーキングと同じで、マイペースに誰にも気を遣わずに楽しめるので、
認知症の人には向いている趣味かもしれない。
難しい手順などなく、ただ黙々と作業出来るのはY子さんに向いていると思う。
鼻歌を歌いながら庭いじりをするY子さんは、楽しく毎日を過ごしている。