実家の引っ越し騒動で、ついに姉に対してキレてしまった私。
Y子さん(母)の認知症診断以降、色んな面でのストレスが少しづつ蓄積していたのが
一気に爆発してしまった。
「私は自分の出来る事を、出来る範囲でする」
そう言った姉に対して、とにかく腹が立って仕方がなかった。
じゃあ、私がご飯を作らなかったら、両親はお弁当やお惣菜ばかり食べることになるよね?
私が病院に連れて行かなかったら、Y子さんはそのままだったよね?
何でも私が引き受けるから、姉はそんな悠長な事が言えるんだ。
私がしなかったら、姉がしなくてはいけない事なのに
それをちっとも分かってないじゃないか!!
「そんなに無理ばっかりしてると、ストレス溜まるよ。
もっと気楽に向き合ったらいいんじゃないの??嫌々するならしない方がいいと思うよ。
そんなんじゃ、Y子さんや父さんの事を嫌いになってしまうよ~」 そう姉は言った。
正にその通りだよ。
無理してるからストレス溜まるし、Y子さんや父のことを嫌になってるよ。
顔を合わせるのもキツイよ。
それは半分はアンタのせいだよ!!
こんなイライラは妹に電話で聞いてもらっていた。
でもね、今になって考えると妹も困ったよね・・・自分は遠くで、手助けできないんだもんね。
妹もずいぶんと私に気を使ったんだろうと思う。
この頃、偶然にも妹は帰省する予定を立てていたので(引っ越し話が持ち上がる前に決めてた)
帰ったらゆっくり話そうね!と言う事になった。
でも、どうにも腹の虫がおさまらない。
そんな時、たまたま娘を車で送迎する機会があった。
もう大学生の娘は、母のイライラやストレス具合なんかもちゃんと分かっている。
なので「この前、姉ちゃんとケンカしたんだよね~」なんて話をしてみた。
私は「そうだよね~ママが居なかったら○○ちゃん(姉の事)は困るよね」と
娘はそう言ってくれるものだとばかり思っていた。
しかし開口一番、娘はこう言った。
「ママ、それは違うよ。
ママが居ても居なくても、○○ちゃんは変わらないよ。
ママが居なくても○○ちゃんは、自分の出来ることを出来る範囲でしかしないと思うよ。」
そう言った。
「えっ!?じゃあ、Y子さんの病院とか、ご飯のお世話は??どうするの?」そう聞いた。
「それは出来ないんじゃない?でもそれはそれで仕方がないんだと思う。
○○ちゃんは、どんな事があっても○○ちゃんのままで、きっとブレないよ。」 そう言われた。
その時、初めて姉の事が分かったような気がした。
そうか・・・そうなんだ。
姉は何もかもを私に押し付けている訳じゃなかったんだ。
私が居ても居なくても、姉はマイペースな姉のままなんだ・・・・と。
「出来ることを出来る範囲でする」ってそう言うことなんだ。
決してズルい考えで私を利用していたんじゃなかった。
たとえそれで両親が多少不自由をしても、それは仕方がない事なんだ。
無理をしても続かない事を、無理をしてまで頑張る必要が無いことを
そう割り切ることが大事だって事を、姉はちゃんと初めから分かっていたんだ。
更に娘は言う
「ママと○○ちゃんは正反対だから、お互いの気持ちが全く分からないんだと思うよ。
私は中間だから、どっちの気持ちも分かる。
だからママみたいには無理できないし、○○ちゃんほど冷静にもなれないな~」って
ストンと力が抜けた。
同じ姉妹でも全く考え方が違ったんだね。
例えばね、同じ「ハシゴ」を見て話をしていても、真正面から見ていた姉と
横から見ていた私とでは、「ハシゴ」の印象が全く違う。
でもその「ハシゴ」についてお互いの印象を話し合ってる。
そのくらい、お互いの親への思いは噛み合ってなかったんだよね。
う~ん、ちょっと例えがヘンだな。 でもそんな感じ。
姉は小さい頃から、とっても親思いだった。
多分3姉妹の誰よりも、両親を大事にしてきた。
だからY子さんが認知症と診断されたとき、姉と手を取り合って
一緒にお世話しようと思っていた。
でも「手を取り合って一緒に」って言う部分が全く出来ていなかった。
多分、私はそれが不満だったのだろう。
押し付けられてるって言う自分の思い込みが、ストレスを増加させていた。
無理してでもしないといい娘じゃない!そう言う思いが、さらに自分を苦しめていた。
な~んだ!無理しなくてもいいんだ。
やっとそんな事が分かった。
そう思ったら、ビックリするほど気持ちが楽になった。
後日、帰省した妹にそんな話をしたら
「私が言おうと思っていたことを、娘ちゃんに言われちゃったね」と言われた。
妹も娘と同じで中間層らしい。(笑)
いつもまにか大人になっていた娘に救われた。
娘は「ママには私が居るよ!」とも言ってくれた。
私は背中のとてつもない大荷物を、すっかり降ろす事ができた。
私は独りじゃなかった。
そんな事に気が付くのに、1年以上かかってしまった。
今でもイライラもするし、Y子さんに付き合うのも疲れる。
でも、根本的なところで安定している。
もう大丈夫。
大丈夫。