少し前の話になるが、先日遠方に住む妹が帰省して来た。
今回もすっかり恒例になっているサプライズ帰省。
両親には何も言わず、いきなり帰って来て驚かすパターンだ。
これでビックリして脳が活性化してくれればいいと思う部分もあるが、
毎回サプライズで帰省するのには訳がある。
それは前もって分かっていると、Y子さんの調子が悪くなるからだ。
「ご飯はどうしよう・・・」「お布団干さなきゃ」
「いつ帰って来るの?今日は何日?」と、あれこれ悩み始めるのだ。
でも何をどうしていいのか分からなくなるようで、すっかり疲れてしまう。
で、妹が帰って来るころには体調も悪くなる事が続いた。
なのでそうならないよう、サプライズ帰省をするようになったのだ。
今回はサプライズ帰省したその日に、三姉妹&Y子さんの4人で温泉旅行に行く計画。
いきなり家に入って来た妹にビックリしたY子さん。
「あら~何よビックリさせて!」と大喜びで満面の笑み。
そんなY子さんを「今から温泉に行くから用意してね!」とまた驚かす。
「何よ今から?」と言いながら何をどうしていいのか分からなくなり、
案の定右往左往しはじめる。
「お泊り準備を手伝うよ!」と言いながらY子さんの部屋に入り込んだ。
Y子さんは自分の部屋に入って洋服を触られるのが大嫌いなのだ。
「下着と翌日の着替えだけでいいからね。」
そう言いながらタンスを開けて洋服を物色する。
でも季節に合った良い服がみつからない。(汗)
押入れやタンスに詰め込まれた膨大な量の洋服。
この中に確実にあるはずなのに、何処に仕舞い込んだのか?みつからない。
私たちがあちこち探るもんだから、だんだんY子さんが不機嫌になる。
「もうこれでいいから触らないで!!」と古ぼけた服を手にする。
ついには「自分でするからあっちに行って!」と怒りだしてしまった。
「そんな急に旅行に行くって言われても困るよね。」
そうブツブツ怒りながら、あちこちタンスを開け閉めするY子さん。
でもまともな服どころか靴下さえ見つけられない。
そのうちどんどん怒りが増してくる・・・・
仕方がないので多少古ぼけている程度の服を選び、
洋服に合わない色の靴下で妥協し、荷造りを早々に終わらせた。
すっかり機嫌が悪くなってしまったY子さん。
旅行に行くのも嫌そうだ。
でも認知症のY子さんは程よく(笑)短期記憶が衰えているので、
他の話をふったらそのうち怒りを忘れてくれた。
忘れるのも悪い事ばかりじゃないね。
1時間後、Y子さんはニコニコ楽しそうに温泉旅行に出発した。
後は機嫌良くお喋りをして、温泉や美味しいご飯を満喫した。
楽しんでくれてホント良かったよ。
サプライズ帰省と温泉旅行。
少しは脳の刺激になった事を祈るばかりだ。