道の真ん中に座りこんでいた子猫を抱き上げてしまった私。
手を出した以上は、この子の命に責任を持たなくてはいけない。
もし責任が持てないなら、決して手を出してはいけない。
それが我が家の生き物に対するルールだ。
縁あって巡り合った子猫をY子さんの家に持って行くことにした私。
まずは家に帰り、出かけるところだった息子を捕まえ車に押し込んだ。
「私は運転、アンタは子猫をY子さんの家の庭に置く担当ね!」
そう息子に段取りを説明して実家に向かった。
痩せて汚れている子猫。
でも動物好きな息子は全く平気で抱きかかえる。
そして子猫は息子に抱かれて甘えている。
なんて人懐っこい猫なんだろう・・・
これなら上手くいくかもしれない♪
Y子さんの家の庭はぐるっと塀があるが、
背が高い息子は難なく子猫を庭に置くことに成功した。
すると子猫は息子を追いかけて、ひょいと塀の上に登ってしまった。
小さいわりに身軽だ・・・(汗)
隠れて様子を見ていると、そのまま塀の上でキョトンとしていた。
すると、いきなり父が庭に出て来た。
息子と私は慌てて車をスタートさせたが、幸い父にはバレなかったようだ。
子猫は塀から庭に降りて行った。
後は野となれ山となれ・・・・そんな心境だった。
その後、1時間もしないうちにY子さんから着信があった。
「あのね、家の庭に子猫が来て、椅子の上に寝てるんだけど、
痩せてるからご飯あげた方がいいかな?」そう弾んだ声が聞えた。
「うっしゃ~!」心でガッツポーズをしながらも平静を装って答える。
「う~ん野良猫に餌をあげると居つくかもよ?」
「でも気になるなら餌をもって来るからそれをあげたら?」と。
私は大急ぎで子猫用のミルクとフードを買って実家に向かった。
実家に着くと子猫はすぐに私にすり寄ってきた。(笑)
「人懐っこい子だね~」と言いながらY子さんにフードを渡す。
ここはY子さんの手で餌をあげる事が重要なのよ。
Y子さんと父は嬉しそうに子猫に餌をあげた。
「塀の上に猫が居たから、おいで!って手招きしたらホントに来た!」
父はちょっと興奮気味にそう言っている。(笑)
「私が庭に出るとすり寄って来るのよ~♪」
Y子さんも嬉しそうだ。
「へ~そうなんだ。」そう平静を装って相槌を打つ私は、
実は心の中でサンバを踊っていた。(笑)
計画通りじゃ~ん♪♪
モリモリご飯を食べた子猫は安心したように、また横になった。
よく見ると鼻も目も汚れており、触ると思いのほか体温が高い。
我が家にも猫がいるが、比較にならないほど熱く感じる。
そう父に伝えると「とりあえず病院に連れて行こう!」と言う話になった。
父はY子さんの喜ぶ様子を見て、飼ってもいいかな?と考えたようだ。
Y子さんも素直に病院行きに賛成したので、早速予約を入れた。
子猫は「猫風邪」と診断され、抗生剤の注射をしてもらった。
そしてノミダニの駆除と、検便をしてもらいひと安心。
あちこち怪我の跡があるのが痛々しい。
とても小さいので生後2~3か月だと思っていたら、
なんともう8ヶ月ほどだろうとの事。(女の子だったよ)
野良生活が長かったらしくやせ細っており、白い手足は茶色になっていた。
道路の真ん中に座り込んでいたのは熱のせいだったのかもね。
両親は可愛いね♪と世話をしていたが、まだ家に入れるつもりはないようで、
その日は軒下(屋根が拾いのよ)に大きなプラケースを置き、
その中に古い毛布を敷き子猫のベッドを作った。
Y子さんは率先して子猫のベッド作成に取り組んでいた。
子猫はすぐにそこに潜り込み安心したように眠った。
よ~し!!よし!
計画は思った以上に順調に進んだぞ。
またまた つづく。