拾った子猫をY子さんの家に居つかせるのに成功した私。
翌朝、すぐにY子さんの家に子猫の安否確認をした。
「ちゃんと庭に居るよ!今朝もご飯をいっぱい食べたよ。」
電話に出たY子さんはそう嬉しそうな声をあげた。
「もう何年も家に住んでるみたいに、堂々と居座ってるよ!」
そう言って笑っている。
これは今度こそ上手くいきそうだぞ!
実はこの日、夜から台風が通る予報になっていた。
それまでになんとか子猫を家に入れてもらわないとね。
台風がいいチャンスだと思い、娘と一緒に実家に向かった。
「今夜は台風だから猫ちゃんは家に入れてあげよう!」
汚れていた子猫をキレイにして、家に入れられるよう準備をした。
お縁にベッドもトイレもしっかり用意し、子猫を家に入れた。
するとその辺りからY子さんの機嫌が急に悪くなって来た。
「家に入れたら飼わないといけなくなる!生き物は飼わないよ!」
またそう繰り返し言うようになった。
「台風の間だけ家に入れて、それ以降は夜だけ家に入れたら?」
「予防接種と避妊手術さえちゃんとすれば、外で自由にさせていいよ。」
そう言ってはみたが、ちっとも納得できないようだ。
「外に出すと近所でイタズラするからダメ。」そう言う。
餌をあげてる時はあんなに喜んでいたのに・・・・
とりあえず台風が通過するまでは、家に置くことだけはOKしてくれたので、
そのまま一晩様子をみることにした。
家に入った子猫は楽しそうに部屋をウロウロし、父と遊んでいたが、
Y子さんは子猫の相手をすることもなく、違う部屋に引っ込んでしまった。
う~ん・・・・またこのパターンなのか?(汗)
とにかくフレンドリーな子猫に後を託すしかない。
上手くいきますように・・・・そう祈るような気持ちで自宅に帰った。
台風はほとんど風が吹くこともなく過ぎ去った翌日。
ドキドキしながらY子さんの家に向かった。
「おはよ~子猫ちゃんはどう??」そう言いながら家に入ると、
お縁をすだれで仕切った、狭い範囲にポツンと子猫は座っていた。
「もう生き物は飼わないから、どこかに持って行って!」
「公園なら餌を配りに来る人がいるから、公園に置いて来たら?」と、
そんな事を平気な顔で言うY子さん。
昔のY子さんなら絶対にそんな事は言わなかったのにな~
父も浮かない顔をしていた。
どうやら子猫がオシッコを失敗したらしい。
よりによってY子さんのお布団の上にしてしまったと・・・
神経質な父はそんな事が一番苦手なのだ。
父とY子さんの顔を見たら、私の計画が失敗した事がよく分かった。
あ~あ・・・やっぱりダメだったか。
猫好きなY子さんの為に巡り合った子猫だと思ったんだけどな。
Y子さんが不機嫌にならないうちに、子猫を自宅に連れて帰った。
子猫ちゃん、振り回しちゃってごめんね。
今日からここがアナタのお家だよ。
でもね・・・我が家には犬やら猫やら他の動物が3匹もいる。
その子たちと仲良くなれるまで、時間がかかるだろうな・・
子猫が穏やかに暮らせるのは、まだまだ先の事になりそうだね。
今度こそは・・・
そう思った私もホント懲りないオンナだな。
認知症で頑固に磨きがかかったY子さんが、生き物を飼うわけがない。
今度こそは・・・・ホント学習したぞ。(笑)