認知症になって以降、外出を嫌がるようになったY子さん。
最近は「ドライブに行こう!」とか
「ランチにでも行かない?」と誘っても、首を縦には振らない。
とは言え「引きこもり」とは少し違う。
なぜならウォーキングにはほぼ毎日出かけてるから。
そしてお通夜やお葬式などの付き合いや、予約している健康診断など、
必ず行かなければいけない事は、文句も言わずにサッと出かける。
だから「引きこもり」だとは思わない。(多分)
でもやはりどうしても行かなくてはならない事以外は、
「また今度にする・・・」とか「その内ね・・」などどやんわり拒否する。
実はY子さん、黒い靴を買いに行かなければいけない。
先日叔父のお葬式の際気がついたのだが、
Y子さんの冠婚葬祭用の靴がないのだ。
きっと引っ越しの時に処分してしまったのだろう。
叔父のお葬式には黒のシースルーのサンダルを履いていた。
私も喪服や黒のストッキング、ネックレスの世話はしていたが、
まさか黒い靴がないとは思わなかったのだ。
その日以降、事あるごとに「靴を買いに行こう!」と誘うのだが、
急を要さないこの買い物に対して、Y子さんは全く反応しない。(苦笑)
「今日は暑いから・・・」
「着替えて化粧するのが面倒だから」などなど毎回色んな言い訳を口にする。
「急にお通夜とかが入ったら困るよ!」と言ってはみるが、
「その時は靴の飾りを外して履くから大丈夫!」と、
下駄箱に入っている飾り付きの黒い靴を壊すつもりのようだ。
そんな事は考えつくんだな・・・
「それはオカシイから買いに行こうね!!」と繰り返す私。
たった1足の靴もなかなか買うに至らない。
先日娘も靴が必要になったので、Y子さんも一緒に行こうと誘ってみた。
いつもは何だかんだと断って来るY子さんだが、
可愛い孫ちゃんの誘いは断りにくいらしく渋々OKした。
これでやっと靴が買えるよ・・・そう思っていたのに。
その後すぐにY子さんから嬉しそうに電話がかかって来た。
「今日は○○君(甥っ子)が来るんだって♪だから靴は買いに行けないわ!」と。
「じゃあ、姉も甥っ子も一緒に出かけようよ!」とは言ってみたが、
「きっと〇〇君は家でゆっくりしたいと思うからまた今度ね」と断られた。
姉ちゃん・・・タイミング悪すぎるぜ。
いったいいつになったら靴が買えるんだろう。
お出かけもお買い物も大好きだったY子さん。
「今までいっぱい出かけたから、もう出かけたくない」と言う。
「洋服も靴もいっぱい持ってるからもう要らない」と言う。(黒の靴はないが)
そんなこと言わずに出かけようよ。
脳に刺激を与えようよ!!
せめて黒の靴は買いに行きたい・・・・・
私もY子さんに負けずに誘い続けようっと。