ようやく引っ越しが落ち着いた秋。
新しい環境に徐々に慣れてきたY子さん(母)だったが、どうしても馴染めない物があった。
それは使い慣れた以前の物とは違う、電化製品の数々だった。
引っ越し先となった父の実家には、新しくはないけれど十分に使える洗濯機をはじめ、
電子レンジや冷蔵庫、炊飯器などの電化製品が全て揃っていた。
それならばわざわざ運ぶ必要もないね!と言う事で、
以前使っていた物は、そのまま実家に置いているのだ。
基本的な使い方はどれも大差ないように思う。
でも今のY子さんにとっては、たとえ少しの違いでも混乱してしまうらしい。
炊飯器もスイッチを覚えるのに時間がかかったし、レンジもあまり使えていないようだ。
新しい家は安全を考えオール電化にしたので、ガスレンジの代わりにIHヒーターがやって来た。
ボタンがいっぱい並んでいるIH、これがまたY子さんを悩ませた。
どのボタンを押せばいいのか?火力の調節はどうするのか?
毎回父に習いながら、でも習った端から忘れてしまうような状態。
もう覚えられないのかもしれない・・・そう心配もしたけれど、
今はなんとか使いこなしてはいるようだ。
問題なのが意外な事に洗濯機だ。
実家ではなぜか父もY子さんも、自分の洗濯物は自分で洗う事にしているらしい。
1人分の洗濯物はそう多い量ではないので、Y子さんはサッと手洗いする事が多いようで、
洗濯機をあまり使わないのだ。
脱水くらいすればいいのに、手で絞って干しているらしい・・・原始的よね~
そのせいで使い方をなかなか覚えられないY子さんは、使いたいときに使えない。
ちょっと大きいものを洗ったら、脱水がかけられなくて困っていた。
「こんな使いにくい洗濯機は初めて!!」などと文句を言いながら格闘している。
ここはなんとか自分で使い慣れてもらう以外にない。
ウォシュレットもエアコンも照明も、苦戦しながらもなんとか使えるようになっている。
きっと脳は相当な刺激を受けてるんじゃなかろうか??(笑)
環境が変わると症状が進む可能性があると言われる認知症。
でもY子さんは症状が進むヒマもないくらい、覚えなきゃいけない事があったかもしれない。
覚えても覚えても忘れてしまい、きっとY子さんはとても大変だったと思う。
でも時間がかかっても、ちゃんと覚える事ができる!それは嬉しい発見だった。
どうなるかと心配したけれど、ダメなことばかりじゃないね。
そのうち機会があれば、何か新しい電化製品でもプレゼントしようかな?(笑)