2015年8月。
父から突然の引っ越し話を聞かされて、パニックになった私。
そんな私の思いとは裏腹に、引っ越し計画はどんどん進む。
認知症のY子さんは、思い立ったらすぐにでも実行しないと気が済まない。
「早く引っ越したい!」「すぐに引っ越そう!」と盛り上がっている。
ただの思い付きで、すぐにまた気持ちを変えてくれるかもしれない!
そんな期待もしてみたけれど、Y子さんは引っ越し準備をどんどん進めている。
とは言え、自分の荷物を山のように玄関に積み上げるだけの引っ越し準備だ。
適当に紙袋に詰め込まれる荷物は、折り畳みの傘にエプロン。
糸ようじに、何故だか取ってあったプリンのスプーンなどなど。
滅茶苦茶なライナップ。
そんなゴミのような荷物が、あっという間に積み上げられる。
とにかく荷物を運ぶ前に、引っ越し先のリフォームが先だ。
最初は畳の表替えと、フローリングにコルクマットを敷く。
天井からホコリが落ちて来るから、天井をザッと掃除して・・・
キッチンのシンクを新しい物と取り換えよう。
で、障子と襖を張り替えようね。
その程度の予定だったリフォーム。
業者さんに頼まなくても、自分たちで出来ることは自分たちでしよう!
そんな流れになっていた。
当然ながら私と、器用になんでもこなす主人の仕事になってくる。
姉に電話をして「Y子さんたち、O市の家に引っ越すんだって」と言うと
「良かった~!!運転の心配もしなくてよくなるから、その方がいいよ!!」と大喜び。
なんだか妙に癪に障る。
「引っ越しとかリフォームが大変だから、姉ちゃんも、義兄さんも手伝ってね!」と言うと
「もちろん!手伝うよ」との返事。
「じゃあ、週末の予定開けておいてね」と言うと
「あ、8月と9月は忙しいからそれは無理!!」とバッサリ・・・
おいおいおいおい。
Y子さん、荷物を玄関に積み上げてるんだよ。
早く引っ越ししないと収まりがつかないんだよ。
「Y子さん、早く引っ越したいって言ってるんだけど」 そう言うと
「だって無理なもんは無理よ・・・秋まで我慢させたら?」と
プチっと切れた。
ついに私の堪忍袋の緒がキレた。
今となっては何を言ったのかはあまり覚えていない。
確か「いつも忙しいと言って、何もしてくれない」とか
「私ばっかり大変なんだよ!」とか「私にばかり押し付けないでよ!」とか
そんな事を姉に向かって言ったんだと思う。
腹が立って、悔しくて・・・涙が出た。
Y子さんが認知症と診断されてからの1年。
その間に溜まっていた、姉への不満が大爆発だ。
そんな私に姉は「どうしたの??なんでそんなに怒るの?」
「アナタと私がケンカする事なんてないじゃない!!」と・・・そうのたまう。
そしてこうも言った。
「そんなに無理ばっかりしてると、ストレス溜まるよ。
もっと気楽に向き合ったらいいんじゃないの??嫌々するならしない方がいいと思うよ。
そんなんじゃ、Y子さんや父さんの事を嫌いになってしまうよ~」
「アナタ最近いつもイライラして、私に不満があるんだろうなって思ってたんだけど
私は自分が出来る事を、出来る範囲でしようと思ってるから・・・・」と。
なんて自分勝手な言いぐさだ!!
親の為に少しも無理は出来ないと言うんだな!!
しかも私のイライラは分かっていただと??で、無視してたんだな。
あまりに腹が立って、「もういい!!」と言って電話を切った。
最悪な状態だった。