私の日課。
それはY子さんの所にご飯のオカズを運ぶ事だ。
認知症と診断される少し前から、食事の支度があまり上手にできなくなったY子さん。
何を作っていいのか?どうしたらいいのか?それが分からなくなってしまったのだ。
買い物に行ってもカゴを持ったままウロウロするだけで、何を買っていいのかも分からない。
そのうち買い物に出るのも億劫になり、ますます食事の支度が出来なくなってしまった。
でも「ご飯を作らないといけない!!」そんな思いがどんどんストレスになっていた。
そんなY子さんの様子と、お惣菜中心になっていた両親の健康を考え
毎日オカズを作って父に持たせるようになっていた。
実家のご飯を作り始めてそろそろ2年近くなるかもしれないな・・・
初めはタッパに詰めたオカズをただ届けていたけれど、
Y子さんはそのオカズを冷蔵庫に入れたまま、テーブルに出すことを忘れる事も多かった。
タッパに何が入っているのかを、確認することを忘れてしまうらしい。
そのうちタッパにメニュー名を書き込んだシールを貼り付けて渡すようにした。
そして冷蔵庫の扉にホワイトボードを貼り付けて、そこにもメニュ名を書くよう工夫してみた。
これはそれなりに効果があった。
ホワイトボードのメニューを確認しながら
その日のご飯を用意すればいいので、
Y子さんも迷わなくてすむ。
ただ残念な事に、時々炊飯器のスイッチを
入れ忘れる時があるらしい。(笑)
届けるオカズも作った物だけでなく、調理が必要な素材も時々混ぜるようにしている。
魚を「煮てね」とか「焼いてね」と書き添えて届けたり、野菜も「茹でてね」と渡す。
ご機嫌により調理せず放置している事も多々あるけれど、ちゃんと調理した時には、昔と変わらず美味しく調理することが出来るようだ。
他にも届けたオカズを自分好みの味にアレンジすることも出来る。
どうやら薄味のウチのご飯は少々物足りない味付けらしい(笑)
でもそれは夕飯の時の話。
朝食はトーストと果物、昼食は毎日父がお弁当やお惣菜を買って来る。
それはそれで仕方がないと私も割り切るようにしている。
3食のお世話は到底無理だもんね・・・・
「何にもしなくても食べられるお弁当を買って帰ると、Y子さんがニッコリする。」
そう父は言う。
今のY子さんにとって、ご飯を炊くのもオカズを温めるの面倒なんだろう。(笑)
昔から料理上手で、父が連れてくる大勢の来客にも手料理を振る舞って来たY子さん。
どうやら一生分の料理は既に作り終えているようだ。
今までいっぱい作ってきたから、もう作らなくていいよ・・・・そう思う。
これから先、いつまでY子さんの家のご飯を作り続けるのか分からないけれど
出来る範囲で健康を考えてあげようと思う。